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地雷なエロゲを買うことにも意味はある Edit

エロゲ経済学概論(笑)

エロゲーマーは常に情報収集を行い、よく考えて賢い選択をするよう努力をしている。
しかしそれでも「未完成」「バグ」「内容の大幅削除」「期待感との落差」等の理由から、
いわゆる「地雷」と呼ばれるエロゲを購入してしまう者が後を絶たない。
エロゲーマーからすれば、これらのエロゲを買ってしまったのはまずい決断である。
しかし皮肉なことに、これはエロゲ経済にとって悪い決断ではない。
エロゲ経済全体から見ると、失敗ぎみの決断にも重要な価値がある。

現在はエロゲ多様化の時代である。エロゲメーカーの乱立により、
エロゲーマーが非常に多くの選択肢に直面することはよくある。
一般論を言えば、多様な選択肢はエロゲーマーの利益になるのだが、困った面もある。
数多い選択肢の中で、ベストの選択というものがたしかにある点だ。
ほかの選択肢は、多少なりとも劣っているのである。

長い目で見れば、大半の人が正しい選択をすることはエロゲーマーの利益になる。
最良の作品が最大のシェアを占めるので、各エロゲメーカーがよりよい作品を作ろうと競争するからだ。
ただ、みんなが正しい選択をすれば、潤うのは一握りのエロゲメーカーだけである。
これに対して、地雷を買ってしまったエロゲーマーのようにミスを犯すことは、他の全てのエロゲメーカーの利益になる。

ミクロ経済のレベルでは、判断を誤るエロゲーマーがいるから多くのエロゲメーカーが潤うのだ。
競合するエロゲメーカーが多数いるエロゲ市場では、これは算術的にたしかな事実である。次の表を見てほしい。

競合する
エロゲメーカーの数
最良の
作品の数
劣った
作品の数
選択ミスで利益を受ける
エロゲメーカーの数
選択ミスで利益を受ける
エロゲメーカーの割合
1110119%
2010101050%
5010404080%
10010909090%
2001019019095%
5001049049098%

まともなエロゲメーカーは最良の作品を作ろうと努力する。
なるべく自社作品が最良とみなされるように、用途や購買者を限定した作品を作ることもある。
だが、それでもうまくいかないことがある。それにエロゲーマーは理屈ではなく気分で選ぶことも多い。
その結果、ほとんどのエロゲメーカーは理屈よりも感情に訴えかける広告を打つことになる。
よく使われる手法は次のようなものだ。

  1. 有名人の起用
    有名な原画家、シナリオライター、声優、音楽家等が作品に参加していることで優秀さをアピールする。
    もちろんその有名人は見返りとしてそれなりの報酬を受ける。
  2. 感情への訴求
    作品になんらかの感情的な価値を結びつける。
    Fateなら、文学、セックスアピール。AIRなら、芸術、セックスアピール。
    SchoolDaysなら、神話、セックスアピール。君が望む永遠なら、哲学、セックスアピール。
    うたわれるものなら日本史A、セックスアピール。車輪の国なら、教科書、セックスアピール。
    Kanonなら、奇跡、セックスアピール。
  3. 優越感のほのめかし
    どんな作品にも最良の競合作品に負けない一面がある。たとえそれがごく特殊な一面であってもだ。
    そこでエロゲメーカーはこの一面的な優越性を強調して、全面的に優れているとの印象を与えようとする。
  4. 特典の追加
    劣った作品に特典をつけて買ってもらう。もちろん、特典をつけるための費用は
    作品の製造原価よりうんと安くなければならない。特典が高くつくなら、
    売れない作品は捨ててしまったほうが安上がりである。

これらの操作は、劣った作品を買わせるためだけに行われるのではない。
エロゲーマーが必要以上のものをひんぱんに、場合によっては借金をしてまで買うように仕向ける手法である。
なぜそんなことをさせるかというと、エロゲーマーがエロゲをたくさん買うほど、
そしてまちがった判断をするほど、エロゲ業界全体の経済が活性化するからだ。
エロゲ経済の活力は、かなりの程度、エロゲーマーのまずい選択に依存しているのである。

もちろん、だからといって、個々のエロゲーマーがわざとまずい選択をしなければならないわけではない。
むしろ正しい選択をするよう務めるべきだ。多くのエロゲーマーが正しい選択をすれば、
エロゲメーカーはいい作品を作ろうと努力するからだ。

この現象は、「部分最適化」とか「市場の低能率」とか「満足基準」といった、
小難しいマーケティング用語で説明される。意味するところは、要するに前述のような算術的事実だ。
多様な作品が存在するエロゲ市場では、エロゲメーカーの大多数がエロゲーマーのまずい選択のおかげをこうむっている。
だからこそ広告は、なんとかしてエロゲーマーから愚かな反応を引き出そうとする。

エロゲーマーは情報収集を怠ると、まちがった決定をしがちだ。
そしてこのゲームではエロゲーマーのほうがかなり不利な立場にある。
なぜならエロゲメーカーはあの手この手の広告やセールス手法を使ってくるからだ。
エロゲーマーはあくまで自分の責任で、充分な情報を集めて、いいものを買うようにしなければならない。

以上、「人生について数字が教えてくれること」(角川書店 2001年1月31日発行)より改変コピペ。


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Last-modified: Sat, 24 Jan 2009 03:24:57 HADT (587d)